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働く人と 漢方薬のはなし

  • 執筆者の写真: Chieko│労働衛生コンサルタント
    Chieko│労働衛生コンサルタント
  • 1月2日
  • 読了時間: 6分

更新日:2 日前


漢方薬とすり鉢


▼目次



明けましておめでとうございます。

本年がみなさんにとって、健康で幸せな一年になりますよう、心よりお祈り申し上げます。


はじめに


前回まで何回かに渡って分子栄養学のお話をしました。

私が働く人の健康を支える上で、ぜひ広まってほしい選択肢に、東洋医学があります。


今回はその中でもメインとなる漢方薬のお話をしたいと思います。



漢方薬って、

「気休め程度にしか効かない」

「長く飲まないと効かない」

「副作用が少ないから安心」

…そんなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。


実はこれ、見方によっては一理ありますが、

本質を知ると、大きな誤解があることに気づくかもしれません。


このコラムは

「え、漢方?」「気休め程度でしょ?」「興味ないかも」

そう思っている方にこそ、読んでもらいたいお話しです。


読み終えたとき、あなたの中に

「もしかして漢方って、今のわたしにピッタリのアイステムなのかもしれない」


そんな小さな気づきが芽生えていたら、嬉しいです。


西洋医学との違い


西洋医学では、病気の原因が特定できることを前提に、

効果のメカニズムが科学的に検証された治療薬を用います。


原則として「この症状にはこの薬」という一対一の対応で処方されます。


一方、漢方薬は少し異なります。


すべてが現代科学で解明されているわけではありませんが、

何千年にもわたって人々の経験と観察を積み重ねてきた「人類の知恵の結晶」と言えるものです。


実際、西洋薬の多くもその原型は薬草など自然界の物質から得られた成分がヒントとなっており、漢方薬が効くということは、ある意味でとても自然なことなのです。


「症状」ではなく「体質」で決まる


漢方では、同じ「頭痛」や「疲労感」でも、人によって処方が異なります。


それは体質(=証)を重視して薬が選ばれるからです。


東洋医学における「証」とは、体質や症状を総合的に見たその人の体の状態を示すものです。

たとえば、体が強め、弱め、暑がり、寒がりなどが含まれます。


さらに、同じ証の人であっても、症状の現れ方や症状が起こった経緯、随伴症状の有無、受診のタイミングによって処方が変わることもあります


一見ややこしそうに思えますが、

個別具体的に「全体を見る」このアプローチだからこそ、

西洋医学では解決しづらい不調に対して力を発揮するのです。


「自分は漢方薬を処方されて飲んだことあるけど、全然効かなかった。」という声もあると思います。

でもそれは、もしかするとその薬があなたの「体質」と合っていなかっただけかもしれません。


私たち医療者も、症状だけでなく体質を見極める視点を、もっと大切にしていく必要があると日々感じています。


漢方薬が「向いている症状」と「向いていない症状」


すべての症状に漢方薬が適しているわけではありません。


<向いている症状>


  • 検査では大きな異常がないのに、つらい症状があるとき

  • 検査で異常は見当たらないけれど、漠然とした様々な自覚症状があり、不定愁訴といわれてしまうようなとき

  • 「体質だから仕方ない」とあきらめている慢性的な症状 


<向いていない/慎重に扱うべき症状>


  • 検査で明らかな異常があり、標準治療が確立している病気

  • 急性・重篤な状態(例:心筋梗塞、肺炎、出血、感染症、高熱など)


こうした場合は、西洋医学による迅速で集中的な治療が必要です。


漢方薬は補助的に使える場合もありますが、まずは専門医の診察を受けることが最優先です。


働く人への漢方のすすめ


なんとか働けてるけど、常にだるい、どこか痛い、おなかの調子がよくない。


帰宅するとぐったり。自分にとってのベストパフォーマンスが全然発揮できない。


そんな「病気というほどではないけれど、明らかに調子が悪い」状態に心当たりはありませんか?


ほかにも:


・寝つきが悪い

・食欲がない

・風邪のあと、咳だけが長引く

・排尿の不調


こういった症状は、西洋医学では「様子を見ましょう」と言われがちですが、

漢方薬が体質と合えば、驚くほど改善することがあります


自分の身体の声に耳を傾けて


どんなに優れた医師であっても、

初診の段階であなたの身体のことすべてを把握することはできません。


「なんとなくおかしい」「いつもと違う」 そんな感覚は、

あなたにしかわからない重要なサインです。


その前提で自分である程度調べて、目星をつけてから、

漢方内科を標榜に掲げているクリニックに行ってみるのはいかがでしょうか。


ある程度自分で証を見極めろだなんて、そんなのムズ過ぎる、

って思われるかもしれません。


確かに正確に見立てるのは簡単ではなく、

専門医でも迷うことがあります。


でも、自分の体質を意識しつつ、

たとえば受診時に

「私は虚証ですか?」「水滞の傾向がありますか?」

といった質問をしてみたり、


処方された薬を試しに使ってみたりしながら、


少しずつ慣れていくと、自分に合う薬の種類や傾向が何となくわかるようになっていくと思います。


もし漢方薬が思いのほかよく効いたら、あなたはきっと驚きと喜びに包まれるでしょう。


大事なことは、自分の身体の声に耳を傾けて、それを信じてあげること。

そこから始まります。


ただし、注意も必要です!


「漢方薬は副作用が少ない」とよく言われますが、これは体質に合った場合の話です。


合わない薬を漠然と飲み続けると、副作用が起こることもあります。


ただ、漢方薬には“自分で体調の変化に気づきやすい”という特徴があります。


西洋薬の場合、血液検査などで初めて副作用に気づくこともありますが、漢方薬では以下のような変化を、比較的早い段階で自覚できることが多いです:


・飲み始めて1〜2週間経っても効果が感じられない

・かえって体調が悪化した・新たな不快な症状が現れた


このような場合は、「とりあえず続けてみよう」ではなく、早めに主治医に相談しましょう。

また、よく「漢方は長く飲まないと効かない」と言われますが、体質に合っていれば、数日〜1週間ほどで何らかの改善の兆しが見られることが多いです。


漢方は長く飲まないと効かないって思い込んでしまっているとしたら、おそらくそれは、漢方薬が十分に効果を発揮して、その人の生活の質が十分に回復し、他の人から見ても元気になってきているのが分かるようになるまでに、長い時間がかかることがあるということだと思います。


だから、なんの変化もないのにとりあえず長期間飲み続けるというのはおすすめできません。


また、気になる症状が良くなっても、別の不調が出てきた場合は、それも体質に合っていないサインかもしれません。


さらに、頓服で使う場合は、効くときは即効性があるため、1回につき1〜2包にとどめて、変化がなければ中止するのが安心です。


生薬ごとの副作用にも注意


甘草(かんぞう)、黄芩(おうごん)、地黄(じおう)など、一部の生薬は体質によって副作用が出やすいことがあります。このあたりの知識もあらかじめ知っておけば、より安全に漢方を取り入れることができます。


おわりに


つらい症状を「仕方ない」と我慢して、毎日をがんばっているあなたへ。


自分の体の声に耳を傾ける

正しい知識で選ぶ

合わなければ、速やかに見直す


この3つを意識して、あなたの生活に漢方薬を取り入れることで、

毎日がもっとラクに、豊かになるといいなと思います。


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