Well-being経営の新しいかたち③~分子栄養学と東洋医学のはなし~
- Chieko│労働衛生コンサルタント

- 10月14日
- 読了時間: 3分
更新日:10月29日

▼目次
はじめに
前回、働く人の健康を守るには特定の原因だけを追究するのではなく、
一人ひとりの体質やその人を取り巻く状況に向き合った総合的なアプローチが大事になるというお話をしました。
その点においてなぜ私は分子栄養学(オーソモレキュラー)や東洋医学の考え方が有用だと考えるのでしょう。
分子栄養学のはなし
分子栄養学とは簡単に言うと、足りていない栄養素をちゃんと補うことで、体の本来の働きを取り戻す方法です。
分子栄養学では、血液検査などのデータを深堀することで、体の中でどんな栄養素が足りていないのかを読み解くことができます。
たんぱく質不足、脂質不足、ビタミン・ミネラル不足…
人によって足りていない栄養素は違います。
食事や生活習慣を個別具体的に見直していくことで、心と身体が整い、自然治癒力が高まります。
東洋医学のはなし
漢方薬や針灸に代表される東洋医学は
エビデンスを重視する現代医学ではなかなか有用性を立証するのは容易ではありませんが、本来、何千年もの歴史の中で、人々に受け継がれてきた英知の結晶です。
東洋医学では「気・血・水」や「実証・虚証」「五臓」のバランスなどから、
個別に体質の特徴に合わせて不調の原因を捉えます。
ピタリと合うと驚きの効果を感じられることがあります。
客観的な検査所見だけでなく、
患者さんの症状に目を向けたり、
脈の打ち方や舌の状態など
全身的に見て診断していきます。
これらの共通点とは?
現代では多くの人が、“健康”を「病気がない状態」と捉えていますが、
実際にはその前段階に「不調のサイン」が隠れています。
この二つの学問に共通することは、この「未病」の状態からアプローチできることです。
産業医学の世界ではプレゼンティーイズムという概念があります。
出勤はしているが健康上の問題で生産性が下がっている状態のことを指します。
言い換えると、頭が痛かったり、身体がダル重だったりで、
なんとなく調子が悪いけどなんとか働けている、そんな状態です。
分子栄養学や東洋医学は、このプレゼンティーイズムの改善において、
大きな可能性を秘めているのです。
おわりに Well-being経営への有用性
近年、少しずつ注目されるようになってきたこれらのアプローチですが、
現状では、西洋医学的なアプローチでは
なかなか改善しなくて困った人達が
色々探してたどり着く選択肢
という位置づけであることが多いように思います。
けれど私は、こうしたアプローチは
まだ病院を受診するほどではないように感じる心身の不調を、
「体質だから仕方ない」とか、「もう少し我慢すれば…」
そう思いながら働き続けている――
そんな人達にこそ、大きな力を発揮すると考えます。
もちろん、健康管理において西洋医学は欠かすことができません。
でも、私が伝えたいことは
西洋医学が力を発揮する領域と、
東洋医学や分子栄養学が力を発揮する領域は
異なっているということ。
そして、現代社会で困難を要している、健康課題について、
ちょっと新しい視点を加えるだけで、今まで知らなかった世界が開けること。
そうしたことが、もっと多くの人に広まっていくといいなと思います。
次回は、私が働く人の健康を考えるうえで大事だと思うもう一つの視点、
人権と組織開発に関するお話しです。
お楽しみに。



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