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働く人の健康と組織開発のはなし②~管理職がすぐできる行動編

  • 執筆者の写真: Chieko│労働衛生コンサルタント
    Chieko│労働衛生コンサルタント
  • 2025年12月21日
  • 読了時間: 6分

大きな木の下に人が集まっている。


▼目次




はじめに


前回は組織開発の視点を取り入れる上で必要な「人の認知バイアス」の理解についてご紹介しました。

今回は、職場の健康づくりの観点から組織開発を取り入れるにあたって大事なことをお話ししたいと思います。


困ったをため込まない文化をつくる


まず、働く人の健康づくりを組織的に取り組むときにまず大事なことは、

「困ったをため込まない環境を作ること」だと思います。


私の考える、思ったことを素直に言える職場とは「調子が悪いときに言い出せる」だけでなく、「困っていることを、ためらわず相談し早期に解決できる」ことも含みます。


困ってることが解決できないというのは自分が思っている以上にストレスになります。

時に業務にも支障をきたし、長引くと徐々に心の健康をむしばむ可能性があります。


不調が表面化する前に、日々の「困りごと」がその都度早めに対処されていれば、そうしたストレスは蓄積しません。


「困った」「助けて」と言えることそのものが、健康リスクを未然に防ぐ力になります。


これは、職場の心理的安全性を重視することは、心の健康そのものを守る文化づくりにつながることを意味します。


実は、不調の原因が“栄養”ということも


私はこれまで、分子栄養学や東洋医学の知見を学びながら、

人の健康や不調の背景を多角的にとらえる視点を深めてきました。


その中で感じるのは、「一見、心の問題に見える症状が、実は体のSOS」というケースの多さです。


  • 鉄やビタミンB群不足による、うつっぽさや疲労感

  • 糖質過多による、血糖値の乱高下に伴う集中力の低下やイライラに

  • コレステロール不足によるうつ症状


などです。こうした不調は「気の持ちよう」と誤解されやすいですが、

実際には改善可能な“体質”の問題ということもあるのです。


管理職がこうした知識を少しでも持っていると、

部下の異変に早く気づき、建設的な対応につながります。


健康や体調には個人差がある


また、健康や体調には、思っている以上に個人差があります。


同じ病状でも、つらさの程度や感じ方は人それぞれ。


たとえば、下記のような点です。


・生理痛の程度は人によって全く違う。寝込む人もいれば、何ともない人もいる。

・朝起きられない・遅刻しがち=だらしない、と決めつけない。睡眠相後退症候群起立性調節障害という医学的問題の可能性もあり、生活習慣の見直しや適切な治療により改善し得る。

・長く座っていると悪化する腰痛もある。慢性腰痛は無理のない範囲で動かすことはむしろ体に良い。「立ったり歩いたりしたい」は“さぼり”ではなくセルフケアかも。

・男性と女性では多くの病気で発症の頻度や発症の仕方が異なる。


などなど。

教科書やネットに書いていることを画一的に捉えない。

一人ひとり違うんだっていう前提に立って、考えると見えてくるものがあるかもしれません。


慢性症状を抱える人のつらさは、周囲に理解されにくい


また、私は「慢性痛などの慢性症状を抱える人は、

周囲に理解されにくい苦しみを抱えている」という現状への理解が大事だと思います。


合理的配慮を要するような慢性疾患のある人(がん、自己免疫疾患、腎臓病など)は慢性的な疼痛や疲労感で、生活に支障をきたしていることが多いです。


 誰もが経験したことのある痛みや疲労感だからこそ、それが慢性的に続くつらさは、かえって理解されにくい傾向があります。


人は「自分も痛かったことあるけど働けた」「オーバーに言ってる、甘えなのではないか」など、どうしても自分の経験をベースにした判断をしてしまうのです。


また、こうした慢性症状は器質的疾患の程度に関わらず、ストレスや体の冷えによって症状が悪化したり遷延したりしていることもあります。


だから、業務に支障があるかどうかという視点だけでなく

残業を減らすとか、冷房などで体を冷やさないようにするといった配慮も甘えではないという理解を広げることで、みんなが働きやすい、真に公平な社会に近づくと思います。


こうした点は、教育によって大きく変われると私は思います。


例えば、うつ病の人はつらい、頑張れと言ってはいけないという理解は社会に広く浸透しました。


今は、うつ病の人に対して、

「自分も落ち込んだことあるけど、平気だった、仕事はできた。」

と自分と比較して考える人は少ないと思います。


私は、他の“見えない不調”にもこうしたリテラシーを広げていきたいです。


管理職に明日からできる行動編5つの提案


  1. 「困ったら遠慮なく言ってほしい」「早めに相談して」と日頃から全員に周知する 特に、見えにくい不調や制度利用(生理休暇・育休など)については、「遠慮せず使ってほしい」と自ら明示する。


  2. 不意の人員減に対応できる体制をつくる 全体の業務遂行に余白のある設計にする。「誰かが抜けたら回らない」構造ではなく、チーム制にしたり、日頃からお互いの仕事をある程度把握し各自が余力を持って仕事ができる構造にする。


  3. 「最近どう?困っていることはない?」と、雑談ベースで個別にも声をかける 定期面談よりも、ちょっとした気遣いの方が本音を引き出しやすい。


  4. ミス報告にはまず「ありがとう」を 報告してくれたから改善できる。責めるより、次にどう活かすかを共に考える姿勢を示すことで、相手に安心感を与える。


  5. 「なぜ、そう判断したの?」といった相手を問い詰める返答をしない 自分はただ情報として質問しているつもりでも、相手は責められていると感じることもある。代わりに「なにが大事だと思ったの?」「どこを改善するとよさそう?」など、問いかけの角度を変えてみよう。


参考文献:石井遼介『心理的安全性のつくりかた』日本能率協会マネジメントセンター、2020年


言えるだけじゃなく、“つながる”ことが安心につながる


困ったとき勇気を出して相談し、上司が優しく受け止めてくれても、

どうすることもできない・何も変えられないのであれば、

つらい状況の改善にはつながりません。

声を上げた結果、実際に状況が改善して初めて健康維持につながります。


  • 業務内容・適材適所の見直し

  • 業務量の一時的な調整

  • 在宅勤務や柔軟な出勤対応

  • 各種制度利用

などです。


中にはちょっと椅子を変えるとか仮眠室で横になれるとか、そうしたちょっとした配慮でも助かる人たちがいます。



心理的安全性、風通しの良い風土、そして支援につながる制度の運用

この三つが揃ったとき、本当の意味で職場の健康づくりはWell-being実現に向かうのではないでしょうか。


おわりに


心と体の健康が守られ、風通しのよい職場では、人は思ったことを素直に言えるようになります。


日々のちょっとしたモヤモヤを打ち明けたり、ふと浮かんだアイデアを気軽に提案したり。


その積み重ねが、一人ひとりの自発性や創造性を育み、仕事へのやりがいにつながります。


そして、人は自分が満たされると、 誰かの役に立てることに喜びを感じるようになります。 助け合いや感謝がめぐる職場には、優しさと活気が満ちていきます。


そして、そうした職場には、自然とイノベーションの芽が育まれます。


本コラムが、そのはじめの一歩を踏み出すための小さな種になりますように。 

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